更新日:2020年7月21日 13:00
この加工事例は、株式会社ニソール様(代表取締役:田﨑 勝也社長、埼玉県狭山市富士見市2丁目1-12、以下ニソール社)からご依頼いただきましたマグネシウム試作加工案件に関し、ニソール社田﨑様に詳しくお聞きしました。
この記事は、読むのに約3分かかります。
この加工事例でわかること
- マグネシウムの新たな活用方法
- マグネシウム加工環境
- マグネシウム加工方法と価格・納期
1.マグネシウム電池を活用した新たな低電力供給
写真:株式会社ニソール
代表取締役社長 田﨑 勝也さま
今回のマグネシウム試作加工は、産学連携において「植物発電」の実証実験を行い、マグネシウム電池の製品検証を行うため、試作機を開発しました。
しかし植物発電のコアとなるマグネシウムを用いた電極を製造をすることが必要でしたが、これまでマグネシウム加工を行った事がなく、加工業者や加工方法・費用感など全くわかりませんでした。
またプロジェクト自体、本業とは別に行っていたこともあり、マグネシウム加工が出来る業者を探す時間もなかなか取ることが出来ずにおりました。その中で、たまたまマグネシウム試作加工が出来る企業を知っている取引先があり、紹介いただき、今回の取引に至りました。
加工したマグネシウム電極
なお、マグネシウム電池は、一次電池として注水等により電気を生み出すことから「発電機」であると言われております。発電機は非常時の電源になるため、震災や台風等の天災が多い日本にとっては、発電機の確保が重要となってきております。非常用の電源として現在主流となっているものには、リチウムイオン電池、ガソリン等の化石燃料、ガス燃料がありますが、それぞれに問題点があります。そしてこれらの問題点を解決できるのが「マグネシウム発電機」だと考えております。
今回の製品は、無電力地帯で安定的に電力供給が可能!!
例えば、ビニールハウスの「LED証明」「遮光カーテンの開閉動力」「給水動力」「IoT機器電源」などその用途は多岐にわたると考えており、現在は農業分野のみですが、他にも「携帯電話の充電」などにも利用可能と考えております。今回、試作加工いただいた物をプロトタイプとして、より多くの製品開発が出来ればと思っております。
2.マグネシウム加工環境
今回ニソール様からご依頼いただきましたマグネシウム試作加工における加工時のポイントは、切削屑や保管方法に細心の注意が必要なことです。
マグネシウム火災の原因の多くは、マグネシウムの機械加工を行い、その切り屑がある状態で他の金属(鉄やステンレスなど)の加工を行い、加工時に発生する火花がマグネシウムの切り屑に着火することが原因です。なおマグネシウムの細かい切り屑であっても高温にならない限り発火することはありません。
そのため、弊社ではマグネシウム安全対策で次のことを徹底しております。
- 加工設備はマグネシウム合金専用とする。
- マグネシウムの切り屑が大量にたまる前に掃除し金属製の缶に入れる。
- 金属製の缶にたまったマグネシウムの切り屑が一定量となった場合、処分する
- 万が一に備え、金属消火器を用意する。
なお、より詳細な安全対策はホームぺージ内「マグネシウム合金 取扱い上の注意点」にございます。
あわせて、ご覧いただけますと幸いです。
3.マグネシウム加工方法と価格・納期
ニソール社田﨑様がおっしゃる通り加工費用は非常にブラックボックス化されており、どんな加工をどの程度行うといくらなのか、お客様側で把握することが出来ません。多くの方は、付き合いのある加工業者に聞くことがありますが、マグネシウム加工を行っている業者はそう多くありません。マクルウでは、この製造加工における価格のブラックボックス化に風穴をあけたいと考え、加工費用に関し、WEBで公開していきたいと思います。
ちなみに今回のマグネシウム加工は、次の通りです。
加工方法 |
穴あけ加工 ※穴あけ加工で発生する切粉は、他の金属加工等で発生する火花に着火しやすく、水で消化しようとすると激しく反応します。 |
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加工方法 |
※なお、お客様の仕様に基づき切り出す場合、価格が変動します。 ※今回の材料は、「AZ31圧延材は、t3,幅16,長195(㎜)」を使用。 |
納期 |
5営業日
※納品は、お客さま所在地により変わります。 |
最後に
マクルウでは、「マグネシウムの新たな世界を切り拓く」という理念のもと、独自技術である冷間引抜加工技術を核に様々なマグネシウム加工技術を開発。合わせて、ドローン用機体、杖・車椅子など福祉用具、トーンアームパイプ等音響部材の開発を中心にマグネシウムを活用した製品開発を推進。
また、コクヨファニチャー主催「社名の由来コンテスト 社名大賞」を受賞。
これからもマグネシウム加工を通し、マグネシウムを活用することで出来る付加価値を提供していきます。
株式会社ニソール様 会社概要
住所:〒350-1306 埼玉県狭山市富士見2-2-12
TEL:04-2958-8600
設立:1985年5月15日
代表者:代表取締役社長 田﨑 勝也
事業内容:1.電子機器、プリント基板の設計
2.CAD/CAMシステムソフトの開発、販売
URL:https://www.nisoul.co.jp/index.html